2009年12月31日木曜日

あめのうみ

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #37 -----

  「あめのうみ」 水城雄

MIZUKI Yuu Sound Sketch #37
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あめのうみ


 あめ。
 あめ。
 あめの。
 あめの。
 あめの。
 うみ。
 うみ。
 あめの。
 うみ。
 あめのうみ。
 あめのうみ。
 あめのうみのなか。
 あめのうみのなかから。
 あめのうみのなかからきこえるこえ。
 こえ。
 あめのこえ。
 うみのこえ。

 わたしは海の鳥。
 いつも海の音を聴いている。
 海が泣くとき、私は低く飛ぶ。
 海が笑うとき、私は高く飛ぶ。
 海が怒るとき、私はくるくるまわる。
 くるくるまわる。
 世界がまわる。
 海がまわる。
 そらがまわる。

 今日、わたしは低く飛ぶ。
 わたしは見る。
 低い世界を見る。
 機関銃がうなり声をあげるのを見る。
 その銃口の先には、人々が生きる街がある。
 建物がある。
 人が行きかっている。
 銃弾が人を倒す。
 血が流れる。
 もっと血を流すために、重い機械が空を飛んで、もっとたくさんの機関銃を持った兵士を運んでくる。
 人々が生きる街へ。

 今日、わたしは見る。
 怒りに満ち、顔をゆがませた人々が、石つぶてを建物に投げつける。
 ののしりの言葉をさけび、窓ガラスを割り、自動車に火をつける。
 旗を引き裂き、燃やし、歓声をあげる。
 ちいさな島を取りあい、居座り、海に井戸をほる。
 権利をさけび、ののしり、顔をそむけあう。
 低く飛ぶわたしは、それを見る。
 海の声が聞こえる。
 海が泣いている。

 わたしは海の声を聞く。
 わたしは海を思う。
 海もわたしを思う。
 私と海はたがいのことを思う。
 わたしと海は、低い世界のために、ともに祈る。
 ともにいのる。

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