2013年3月28日木曜日

子どものころの七つの話「五 蜂に刺された話」

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  子どものころの七つの話「五 蜂に刺された話」
                            作・水城ゆう


 子どもら数人と山へ遊びに行った。私が子どものころは子どもたちは小さな子も大きな子も、まちまちの年齢の子が近隣でひとかたまりのグループを作って遊んでいた。山へ遊びに行くときも、大きな子が小さな子を引き連れる形で行くのだった。
 アケビかなにかを採りに行ったのだと思う。木によじのぼったり、薮をがさがさ歩いているうちに、たぶんうっかり蜂の巣があるところに踏みこんでしまったのだろう。私めがけて蜂が飛んできて、それを手で追い払おうとした。スズメバチのような大きな蜂ではなく、アシナガバチかなにかだった。気が立っている蜂に手首のあたりを刺されてしまった。
 たちまち真っ赤に腫れて泣き叫びたくなるほど痛かったが、とっさに大人から聞いた話を思いだした。蜂に刺されたときは小便をかけるといい、アンモニアが毒を消してくれる、というものだ。いまではその俗説は迷信であり、アンモニアが消毒どころかむしろ衛生的に問題があるのでやらないほうがいい、ということがわかっている。しかし、そのときはそう信じていたのだ。
 私はすぐにズボンをおろし、腫れた手首にむかって小便をかけた。信じられないことに、痛みはたちまち消え、腫れもおさまってしまったのだ。まぎれもない真実の記憶として、私のなかにそのことが残っている。
 ついでに小便はさまざまなものを消してくれる効果があることを私は発見した。あるとき、神社で遊んでいると、犬の糞を発見した。なにげなく私はそれに小便をかけてみた。するとたちまち犬の糞が跡形もなく消えてしまったのだ。
 その後、私はいろいろなものを小便で消した。親に見せたくない悪い点数の答案用紙、壊れてしまったおもちゃ、うっかり寝小便をしてしまったときも自分の小便でそれを消したりもした。

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