2010年4月30日金曜日

コーヒー屋の猫

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  「コーヒー屋の猫」 水城雄


 十六歳まで生きて、とうとうこの夏、血管の病気で死んだクロという名前の猫の後継猫を探していたところ、コーヒー屋の納屋で近所の飼い猫がどうやら子猫を産んだらしいという。いいタイミングだ。
 家族に伝えたら、なんでもいいからもらって来いという司令が出た。なんでもいいったって……まあ、血統書付きの高級猫じゃなきゃ飼わないという主義でもないが。
 さっそくマスターと捕獲作戦を決行した。
 最初の日、昼間行ったら、母猫ががんばっていて、とても子猫に近づける雰囲気じゃない。おれは平気だが、マスターが、
「だめだよ。母猫がいるよ。怒ってるよ。すごい顔してるよ」
 青い顔をしてはしごの上からおれに報告した。
 翌日、母猫がいないはずだという夕方、二度目の捕獲作戦決行。
 たしかに、母猫はいないようだ。昨日見たのだが、母猫はきれいなキジ猫で、見るからに野趣あふれる顔つきと風情。あんたら、うちの子に手ぇ出したら、承知せえへんからな。クリちゃんという名前らしい。
 マスター、ふたたび、おそるおそるはしごに登り、子猫がいる段ボール箱を納屋の床に降ろしてきた。
 いたいた。6匹もいる。昨日、鳴き声を聞いた限りでは、1匹か2匹、せいぜい3匹だと思ったのに。生後2週間、体重300グラム弱といったところ。
 母猫似のキジがみっつ、黒いのがふたつ、そして白いのがひとつ。黒いのの一方は、このあいだ死んだうちのクロそっくりの模様で、まずこれをもらうことにした。
 猫はふつう、人間の子どもが嫌いだ。ところが、死んだクロはとても辛抱強い猫で、生まれたばかりの息子の子守りをよくしてくれた。まだ赤ん坊だった息子といっしょに、ゆりかごの中で寝ているクロの写真が残っている。
 子どもが生まれたときは、田舎ゆえか、猫についてずいぶんなことをいわれた。飼い猫に指を食いちぎられた子どもがいるとか、赤ん坊の匂いに寄ってきて顔をひっかいたりするとか、喘息になるとか。捨ててこいというまわりの声に抵抗するだけで、ひとエネルギーを消耗したものだ。
 連れて帰る猫の定員は2匹までと、家族からいい渡されてある。黒いののほかに、あと1匹。どれにするか。
 やはり、母猫似のキジがいいだろう。一番ツラ構えがよく、元気がよさそうなのを選んだ。残りの4匹は、かわいそうだがとても面倒見きれるものじゃない。このまま自立していくか、それともいいもらい手が現れるか。
 連れて帰った数日は、母猫恋しさに泣いてばかりいたが、やがて慣れた。まだ皿から飲めないので、哺乳瓶で4時間おきにミルクを飲んでいる。哺乳瓶にもだいぶ慣れた。育児は楽しい。
 息子はいま12歳。このチビたちが10歳になる頃には、おれが結婚して猫を飼いはじめた年齢になる。

2010年4月28日水曜日

死に向かう詩情

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #68 -----

  「死に向かう詩情」 水城雄


 そんなおおげさな、というけれど
 それをみんなはかんがえないわけじゃない
 そうばん完治するとわかってはいても
 そうとう長引けばふと気持ちに魔がさす
 風邪ひいたくらいでおおげさな、というけれど
 ふとかんがえるでしょ、あ・ん・た

 人身事故で遅れた電車
 待ち合わせの時間に間に合いそうもない
 いらつく身体をふとよぎる
 重い鉄のかたまりの感触
 ひ・と・た・ま・り・も・な・い・わ・な
 どん、ぐしゃ、ぶしゅ

 念のために、と抜かれた血
 午後には検査結果が出てますから
 月曜午後の医院の受付
 事務員のひそひそ話
 爬虫類じみた容貌の医者が眉をひそめる
 壁にはなぜかカラヤンの指揮姿の写真、で・か・い

 視界の端にふときざした影に
 気になって視線を向ければ
 白髪頭で頬肉のたるんだおっさんのしぼんだ姿
 これ、おれ?
 これ、おれ?
 おれ、これ?

 中学校のあたらしい温水プールは
 市民に開放されています
 一時間二百円
 卒業生たちがアルバイトで監視してます
 監視されてるのは腹のたるんだ老人たちと、おれ?
 AEDのテストは万全

 いいなあ歳とるって
 死ぬと思うから「詩情も湧く」のであります

2010年4月27日火曜日

階段

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #62 -----

  「階段」 水城雄


 世間ではまだぼくのことを探しているらしい。
 そりゃそうだろう。ある日、忽然と消えてしまったのだから。理由もなく。
 事故、自殺、ぼくに行動に関するいろいろな可能性が検討され、そのどれもが否定された。遺書もなく、遺体もない失踪。いなくなる直前まで部屋にいたことだけはわかっている。どこにも出かけた形跡がないこともわかっている。でも、突然、姿を消した。
 ぼくがいまでもここにいることを、だれも知らない。でも、ぼくは寂しくなんかない。なぜなら、ここには大勢の人がいるから。そう、あの階段からやってきた大勢の人が。

 あるとき、ぼくはふと思った。
「あれ? この階段って13段だったっけ」
 とんとんとんと階段をのぼる。とんとんとんと階段をおりる。そのたびにぼくは無意識に数を数えていた。子どものころからの癖なんだ。
「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12!」
 そう、この古い木造アパートの階段は12段ある。玄関は靴を脱いで下駄箱に預ける方式で、だれが訪ねて来てもいまどき珍しいっていわれる。もちろん、便所も炊事場も共同。風呂は近くの銭湯。そしてぼくの部屋は二階にある八畳間。
 学校に近い街中にあって、それなのに家賃は3万円。いまどきありえない。
「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12!」
 階段をあがりおりするときは、子どものころから無意識に段数を数える癖がついてしまってる。そしてこの階段はいつも12段。間違いなく12段。
 と思ったら、ある日、階段をのぼったとき、
「9、10、11、12、13……あれっ!」
 数え間違えたのか? そんなことありえない。だって、毎日毎日、日に何回も、何百日もこうやって数えながらのぼりおりしてたんだから。数え間違えたことなんて一度もない。
 ぼくはもう一度、数えながら、今度はゆっくりと階段をおりていった。
「9、10、11、12。なんだやっぱり数え間違えたのか」
 ちょっと変な気分でぼくは部屋にもどった。
 数日後、またそれが起こった。今度は階段をおりているとき。
「9、10、11、12、13……えっ!」
 ちょっと用事があって急いでいたんだけど、気になってぼくは階段をのぼりなおしてみた。
「9、10、11、12、13……」
 13段、ある。そんな馬鹿な。もう一度。
「9、10、11、12、13……」
 もう一度。
「9、10、11、12、13……」
 どこかが一段増えてる。
 ぼくはゆっくりと確かめながら階段をおりていった。
「いち、にぃ、さん、しぃ……」
 どこかが増えている。どこだろう。いつも見慣れている階段。でもいつもちゃんと見てなんかいない階段。どこかの段が、いつも見ていなかった段かもしれない。見たことのない段がどこかにあるのかも。
「ごぉ、ろく、しち」
 ふとぼくは違和感を覚えて、立ちどまった。
 この段? なんか変な感じがする。
 ぼくはしっかり確かめようと思い、少し腰をかがめてその段に顔を近づけていった。
 そのとき……

 世間ではまだぼくのことを探しているらしい。
 ここにはそうやって階段の隙間に落っこちてしまった人たちがたくさんいる。全然寂しくなんかない。

2010年4月26日月曜日

また君は恋に堕落している

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #60 -----

  「また君は恋に堕落している」 水城雄


 砂丘の風紋の先端に君は立っている。
 さかしまに。
 東の空はとっくに白みはじめていて、
 やがて夜が明けることを君はあせっている。
 西から吹くかすかな風。
 その風に含まれるわずかな湿り気。
 君の、毒を含んだ尖ったしっぽのふくらみが湿り気をとらえ、
 甘美な水滴の輝きを夜明けの光線の中に放つことを、
 君は夢想している。
 その水滴を口に運ぶことを夢想している。
 たった一滴の水で生きながらえることを夢想している。
 君は生きながらえ、彼女との恋を成就しなければならない。
 この砂丘に子を残すこと。
 それが君の使命なのだから。
 残された子はまた、君とおなじ使命を背負うのだろう。
 君は確かに選ばない。
 砂丘の風紋の先端にみっともなくさかしまに立たないことを。
 彼女との恋を成就しないことを。
 死を。
 君は確かに選ばない。

2010年4月25日日曜日

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #59 -----

  「亀」 水城雄


 もし。
 もし。
 もしもし。
 もうし、もうし。
 もしもし、亀よ。
 亀さんよ。
 まあ聞いてくれよ。
 俺ほど不幸な男はいねえって話よ。
 こう見えてもよ、俺も昔はけっこういい男だったんだぜ。
 いや、昔でもねえか。ほんのこないだまでだ。
 髪だってほんのこないだまでふさふさしてたし、黒々してたし、腰だってまっすぐぴんしゃんしてたし、女にだってもてたし、ちんぽも石みてえにかちんこちんだったさ。
 それがどうよ。ひでえ女につかまっちまって、あっという間にこのざまよ。
 まあ、多少はいい思いをさせてはもらったけどな。
 いわゆる、シュチニクリンってやつよ。
 毎日、飲めや歌えの、きれいなねえちゃんたちとはやりまくりいの、極楽みてえな日々だったな。ああ、そのときはたしかにそう思ってたさ。
 人間、目の前の快楽には弱いのよ。
 しかし、そんなことは長続きするもんじゃねえし、終わっちまえば快楽なんてのはむなしさが残るだけよ。わかるだろう、おめえ。
 わかるだろう、亀さんよ。
 しかも、箱をあけたらあっというまにこのざまよ。パンドーラ。
 なんのために生まれてきたんだろうなあ、人間って。
 どうして俺はこんなところにいるんだろう。
 なあ、亀さんよ。
 Why did I come here? てなもんよ。なあ、亀よ。
 Why did I come here?
 ホワイ・ディッド・アイ・カム・ヒア?
 ホワイ・ディッド・アイ・カム・ヒア?
 ホワイ・ディッド・アイ・カメ・ヒア?
 ホワイ・ディッド・アイ・カメ・ヒア?
 カメ・ヒア?
 カメ……?
 もしもし。
 もしもし。
 もしもーし!

2010年4月24日土曜日

歌う人へ

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #58 -----

  「歌う人へ」 水城雄


歌う人よ
幼い魂を
老いた魂を
迷える魂を
きみの声は震わせてきた
さやけき声も
力強きメロディも
私たちに届けられた
きみのために奏でるとき
こころは踊り出しそうになっていた
たとえ遠くに行こうとも
もう二度と会えないとしても
声を届けることを忘れないでほしい
きみの声が役目を持っていることを
多くの人に幸をもたらすことを

2010年4月23日金曜日

豆まき

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #57 -----

  「豆まき」 水城雄


 その男の子がどこからやってきたのか、村のだれも知りませんでした。男の子も話そうとしませんでした。
 ただ、男の子が心に深い傷を負っているらしいことは、みんなにもわかりました。なぜなら、男の子からは深い苦しみと悲しみが感じられたからです。
 いつもそうするように、村の人たちは男の子になにも聞かず、ただ黙ってご飯を食べさせ、子どものいる家に寝泊まりさせてやりました。
 そこは特別の、でもとても小さな、貧しい村でした。男の子ひとり、とはいっても、食べる口がひとつ増えたわけです。けれども誰も文句をいうものはありませんでした。

 村の子どもたちは小さながっこうに行っていました。しかし、みな貧しいので、がつこうの畑では作物を育てていました。畑の仕事もまた、勉強のうちだったのです。
 あの男の子も、家の子どもたちといっしょにがっこうに行きました。けれども、やっぱりなにもいいません。ただ黙って苦しそうに、窓から海を見つめているばかりです。
 ある日、村の子どものひとりが男の子にいいました。
「今日はみんなで豆を植えるんだ。きみも来いよ」
 男の子はしばらくかんがえていました。実のところ、男の子は畑仕事なんか一度もしたことがなかったのでした。
「それって楽しい?」
 と、男の子が聞きました。男の子が口をきくのを初めて聞いて、村の子どもはびっくりしてしまいました。でも、しばらくしてから、正直に答えました。
「ううん、それほど楽しくない。どちらかというと大変だ。喉は乾くし、腰も痛くなる」
「そんなつらい仕事にぼくを誘うのはなんで?」
「それは……」
「仕事の人数が増えると楽になるから?」
「それもあるけど、それだけじゃないよ」
「じゃ、なんで」
「なんでなのかうまく説明できないよ。なんとなくきみもいっしょに豆を植えたらどうかなと思って。それに、豆まきは苦しいばかりじゃないよ」
「なにがあるの?」
「芽が出たときはうれしいんだ。大事に育てて、豆がなったら、いろいろと役に立つ。きみは豆を食べたこと、ある?」
「もちろんあるよ。馬鹿にしてるの?」
「してないよ。でも、たとえば味噌って豆から作るってことを知らない子どもはいるからね」
「そうなの?」
 男の子は目を丸くしました。どうやら、その男の子も味噌が豆からできることを知らなかったらしいのです。
「そうだよ。ほかにもいろいろ作れるよ」
「なにが作れるの?」
「畑に来れば教えてあげるよ」
 そこで男の子は豆を植えるために畑に行ってみることにしました。

 子どもにとってそれはけっこうつらい仕事でした。
 畑を耕してから、灰をまき、畝を作ります。一本ずつ丁寧に土を盛りあげ、上をたいらにします。水はけがよくなり、豆がよく育ちます。作業もしやすいのです。
 きれいに畝ができたら、小指くらいの太さの棒で穴をあけ、そこに豆を二、三粒ずつまいていきます。
 男の子は、そんな面倒なことをせずに、いっぺんにバラバラっとまいてしまえばいいのに、と思いました。けれど、それではだめなのだそうです。
「鳩がみんな食っちゃうし、育ちも悪くなるからね。それに、余分な豆はとってないから、一粒も粗末にしちゃいけないんだ。一番いい豆だけを種に残して、あとは食べるために使うから」
 豆は味噌を作る材料になるばかりでなく、豆腐やきな粉や醤油や納豆まで作れるんだということを、男の子は初めて教わりました。そればかりか、おいしい枝豆だってこの豆のことだったのです。
 男の子も豆まきに加わりました。
 いわれたとおり、棒で土の表面に穴をあけ、豆粒を落としてから、土を丁寧にかぶせます。そこに豆を埋めたことが鳩にばれないようにしなければいけません。
 とても時間がかかる作業でした。隣の畝で作業をしていた村の子どもは、どんどん進んでいってしまいます。
「ぼくって、のろまだね」
「慣れてないからだよ。でも、きみのほうが丁寧だね。ほら。早いよりも丁寧なほうがいいよ。それに、慣れればきみだって早くなるよ」
「そうかな」
 額から汗が伝って、鼻の頭からぽたぽたと落ちました。ひどく喉が渇き、腰も痛くなってきました。
 顔をしかめながら立ちあがって、腰をのばすと、隣の畝の子もちょうど立ちあがって、腰をとんとんとやっているところでした。
 目があって、なんとなくふたりは笑いあいました。
 村の子も腰が痛いんだ、きっとぼくとおなじように喉も乾いているんだろうな、と男の子は思いました。そういえば、村の子の名前はなんていうんだっけ?
 男の子は笑顔になったことが照れくさくなり、顔をそらしました。すると、視線の先には、初夏の陽光を受けてきらきらと光る海が、どこまでも広がっているのでした。

2010年4月22日木曜日

人像(ヒトガタ)

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #56 -----

  「人像(ヒトガタ)」 水城雄


 おまえら
 よく聞け
 そこでなまぬるい飲み物をすすっているおまえら
 おれの話をよく聞け
 絶望と苦しみの果てに
 おれはここに来た
 おまえらが想像もつかないような苦しみを経て
 死神の顔すらおがめずに
 おれはここにいる
 想像力を持てという
 そんなものは糞だ
 人がその硬いがんじがらめに組みあわさった丸い骨の内側で想像しうるものなど
 糞だ
 幻想だ
 本物の苦痛と絶望をおまえらは知らない
 半年も洗っていない衣服の肌触りも
 ひび割れた爪先で触れるコンクリートの感触も
 おまえらは知らない
 吐きかけられる煙草臭い痰の味も
 死んだ目を持つ高校生の柔らかいスニーカーで蹴りつけられる痛みも
 おまえらは知らない
 しかしおれはおまえらにいおう
 おれはおまえらよりはるかに生きている
 しょせん人は虫だ
 本能と欲望を詰めこんだ身体のなかでもがき苦しんでいる虫だ
 いくらそこから自由になろうとあがいても
 すべては嘘だ
 幻想だ
 糞だ
 おまえらは人の形をした虫だ
 おれのように
 虫のように
 生きてみろ

2010年4月21日水曜日

しょぼんでんしゃ

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----- MIZUKI Yuu Sound Sketch #67 -----

  「しょぼんでんしゃ」 水城雄


 しょぼんとした大人を
 たくさんのせて
 電車が行ったりきたりする

 大人になってから
 しかられる
 大人になっても
 しかられると
 かなしい

 自分のせいで
 しかられる
 大人になっても
 自分のせいで
 しかられる
 しかられると
 かなしい

 しかられて
 かなしくなると
 しょぼんとする
 大人になっても
 しょぼんとする
 キョセーをはって
 ギャクギレしてみせたりしても
 ほんとはしょぼんとしてる

 たくさんのしょぼんとした大人が
 電車に乗って
 行ったりきたりしている
 それがジンセーだ
 とかいったりして